イボタノキ

日本全国で見られる小さなかわいらしい花を付けるイボタノキ

イボタノキは、2メートルから5メートルくらいの高さになる樹木で、日本全国に生えています。
初夏、特に梅雨が始まる頃に小さな花を付け、とてもかわいらしい様子を見せてくれます。
このかわいい小さな白い花を観賞用として自宅に植えている人もいます。

葉は5センチ程度の楕円形で、葉肉は比較的薄めです。
夏の終わりころから小さめの果実を付けて、秋の終わりころには濃い紫色に変化します。
この果実は特に食用や薬用、もしくは生活上の便利品として用いられることはなく、可憐な花を観賞するという目的で植えられているケースが多くなっています。

幹に寄生するイボタカイガラムシが有効利用される

イボタノキ自体は特に有用な樹木として利用されるということはありませんが、その幹に寄生するイボタカイガラムシが珍重されています。
というのも、このイボタカイガラムシはイボタノキの幹に寄生すると、ロウ状の分泌物を出して、それが様々な用途に使われるからです。

このイボタカイガラムシが分泌するロウ状物質は融点が高いため、昔から建具、つまりふすまや障子などの潤滑用のロウとして利用されてきました。
このロウはとても品質が良く貴重であるため、現在ではとても高額のものとなっています。
すべてのイボタノキにこのイボタカイガラムシが寄生するわけではありませんし、分泌するロウはそれほど多くないので、どうしても産出される量が少なくなってしまうのです。

そのため、昔からイボタノキから取れるロウは貴重なものとして扱われ、高級な建具に使用されるケースが多く見られています。
現在ではこの用途のために栽培しているところはかなり少ないですので、より高級な材料となってしまっているという傾向があります。

薬用としてもイボタカイガラムシから取れるロウが用いられている

イボタカイガラムシから取れるロウは、建具の敷居滑りだけではなく、医薬用品としても用いられています。
しっかりと傷口をロウで固めることができますので、傷口に塗って止血剤として利用するという方法があります。

また、これをお湯で煎じて強壮効果を狙ったり、利尿作用を期待して飲むというケースもあります。
それほどポピュラーな利用方法ではありませんが、昔からこのイボタノキを使う習慣がありますので、一定程度の効果が見込めると言えるでしょう。

よりポピュラーな使い方としてはイボ取り、魚の目取りとしてロウを使うというものがあります。
ロウの硬くなり皮膚にぴったりと固着するという性質を生かして、イボや魚の目の部分にかけて時間を置いたのち引き抜くという方法で使われます。
「イボトリノキ」がなまってイボタノキになったと言われているほど、よく用いられていた手法です。